江戸時代から続く「ヤマトヤ御殿場本店」が地域に愛され続ける理由【取材】

江戸時代から続く「ヤマトヤ御殿場本店」が地域に愛され続ける理由【取材】

「御殿場で昔から続く時計屋さんって知っていますか?」

そんな話になると、きっと名前が挙がるお店の一つがヤマトヤ御殿場本店

時計の電池が切れたら持って行く。
ベルトがゆるくなったら相談する。
祖父から譲り受けた時計を修理してもらう。

そんな存在が、地域にはありました。

創業は江戸時代。

明治時代には精工舎(現在のセイコー)との取引が始まり、現在では静岡県最古の時計取扱店として知られています。

今回、ごてんば散歩では実際に店舗へお伺いし、お店の歴史やこだわり、スタッフの皆さんの想いを取材させていただきました。

取材前は「歴史ある時計屋さん」というイメージが強かったのですが、お話を聞いているうちに、その印象は少し変わりました。

ここは時計やジュエリーを販売するだけのお店ではありません。

お客様一人ひとりとのご縁を大切にしながら、人生の節目や思い出に寄り添い続けている場所でした。

目次

ヤマトヤ御殿場本店
江戸時代から受け継がれてきた「信頼」

「江戸時代創業」と聞くと、思わず「そんな昔から?」と驚いてしまいます。

今から約二百年以上前。

まだ武士が町を歩き、人々が徒歩や馬で旅をしていた時代です。

その頃から、ヤマトヤは御殿場の地で商いを続けてきました。

創業当時は現在のような時計専門店ではなく、地域の暮らしに寄り添う日用品を扱うお店としてスタートしたそうです。

そして明治時代。

文明開化とともに日本でも時計文化が広がり始めます。

その時代に精工舎(現在のセイコー)との取引が始まり、本格的に時計を扱うようになりました。

それから明治、大正、昭和、平成、そして令和へ。

時代は大きく変わりました。

街並みも、人々の暮らしも、扱う商品も変化しています。

それでも変わらなかったものがあります。

それは、お客様との信頼関係を何より大切にしてきたことです。

「歴史があるから信頼される」

そう思われるかもしれません。

でも実際は逆なのかもしれません。

一人のお客様を大切にする。

その積み重ねが十年になり、五十年になり、百年になり、そして二百年以上続くお店になった。

取材をしながら、そんなことを感じました。

「老舗だけど入りやすい」そんな安心感のある店内

「老舗だけど入りやすい」そんな安心感のある店内

正直に言うと、取材へ伺う前は少し緊張していました。

「老舗のお店」と聞くと、どこか敷居が高いイメージがあったからです。

高級時計やジュエリーが並び、少し背筋を伸ばして入るようなお店なのかな、と勝手に想像していました。

でも、その印象はお店へ入った瞬間に変わりました。

スタッフの皆さんが自然な笑顔で迎えてくださり、とても温かい雰囲気。

「こんにちは」

その一言だけで、緊張がほぐれたのを覚えています。

店内には腕時計が美しく並び、その奥にはブライダルリングやジュエリーのコーナーもあります。

落ち着いた雰囲気でありながら、決して堅苦しくありません。

「見るだけでも大丈夫ですよ。」

そんな空気が自然と伝わってきます。

実際、お話を伺っている間にも時計の電池交換や修理相談で来店されるお客様が何組もいらっしゃいました。

スタッフの皆さんは、お客様一人ひとりに笑顔で声を掛け、世間話を交えながら対応されています。

その様子を見ていると、「地域に愛されるお店」という言葉がぴったりだと感じました。

買うためだけのお店ではなく、困った時に相談できる場所。

そんな存在だからこそ、長年通い続けるお客様が多いのでしょう。

ヤマトヤ御殿場本店のジュエリー

ヤマトヤ御殿場本店のジュエリー

ヤマトヤでは時計だけでなく、ジュエリーにも強いこだわりがあります。

例えば、愛媛県宇和島の生産者から直接仕入れる「匠パール」

実は真珠は、一粒一粒すべて同じではありません。

巻きの厚さや光沢、色味、形。

その微妙な違いによって、美しさは大きく変わるそうです。

正直なところ、取材前の私は「真珠ってどれも同じように見えるな」と思っていました。

でも実際にお話を聞きながら見比べてみると、その違いは想像以上でした。

やわらかく上品に光るもの。

透明感のある輝きを放つもの。

同じ真珠でも、一粒ごとに表情が違います。

そうした中から、本当に納得できる品質だけを届けたい。

その想いが「匠パール」という名前にも込められているそうです。

また、ダイヤモンドも品質にこだわり、長く愛用できるものを厳選。

婚約指輪や結婚指輪は、一生身につける大切なものだからこそ、「その時だけ」ではなく、「何十年先」まで見据えた提案を心掛けているそうです。

商品をおすすめする前に、お客様のお話をしっかり聞く。

それがヤマトヤの接客の基本。

だからこそ、「ここで選んで良かった」と思える出会いが生まれているのかもしれません。

ブライダルを通して生まれる,一生のお付き合い

ブライダルを通して生まれる,一生のお付き合い

「ブライダルのお仕事をしていて、一番うれしい瞬間はどんな時ですか?」

取材の中でそう質問すると、スタッフの方は少し考えながら、ゆっくりと話し始めてくださいました。

「たくさんあるんですけど……」

そう前置きしたあとに話してくださった一つのエピソードが、とても印象に残っています。

正直、このお話を聞いている途中、取材ということを忘れて聞き入ってしまいました。

それくらい素敵なお話でした。

「彼女に婚約指輪を贈りたいんです」

一人の青年がヤマトヤを訪れました。

当時、彼は高校を卒業したばかり。

専門学校へ通い始めた頃で、まだ車の免許もありません。

少し離れた場所から、自転車で来店されたそうです。

「彼女に婚約指輪を贈りたいんです。」

そう話す彼は、一生懸命アルバイトで貯めたお金で買おうとしていました。

まだ学生です。

決して余裕があるわけではありません。

それでも、大切な人のために、自分のできる精一杯で想いを形にしたい。

そんな真っすぐな気持ちが伝わってきたそうです。

スタッフの方も、その姿がとても印象的で、今でも鮮明に覚えていると話してくださいました。

「少し汗をかきながら、自転車で来てくれたんです」

その一言だけで、当時の情景が目に浮かぶようでした。

「本当に結婚することになりました」

それから約6年。

再び、その青年がお店を訪れます。

今度は一人ではありません。

隣には、当時の彼女がいました。

そして最初の一言が、

「結婚することになりました」

学生だった二人は社会人になり、少し大人びた表情に。

「久しぶりにお会いした時、『あっ、自転車で来てくれた子だ』って、すぐに思い出したんです。」

スタッフの方も、その瞬間に当時のことが一気によみがえったそうです。

「あの時はまだ学生さんだったのに」

「すごく凛々しい表情になっていて」

そんな風にお話しされる姿からも、お客様との時間を大切にされていることが伝わってきました。

お二人が選びに来たのは結婚指輪。

さらに驚いたのは、学生時代に購入した婚約指輪も一緒に持ってきてくださったことでした。

「この指輪でプロポーズしたんです」

そう報告してくださったそうです。

これって、本当に素敵なことですよね。

婚約指輪を販売しただけではなく、その後の人生にも寄り添わせていただける。

そんな仕事だからこそ味わえる喜びなのだと思います。

「売って終わり」ではなく、「そこから始まる」

ヤマトヤでは、ブライダルリングをご購入いただいた後も、クリーニングやメンテナンスなどのアフターサービスを大切にしています。

そのため、

「結婚式を挙げました」

「無事に入籍しました」

そんな報告に来てくださる方も少なくないそうです。

中には、結婚式で指輪交換をしている写真をポストカードにして持ってきてくださる方もいるのだとか。

「無事に結婚できました。」

そんな言葉をいただくたびに、自分たちも幸せな気持ちになると話してくださいました。

さらに時間が経つと、

「赤ちゃんが生まれました。」

と、ご家族で遊びに来てくださることも。

恋人だったお二人が夫婦になり、やがてパパとママになる。

その人生の変化を近くで見守ることができる。

「こんな仕事って、なかなかないですよね。」

思わずそう言うと、スタッフの方も笑顔でうなずいていました。

指輪には、それぞれのストーリーがある

今回のお話を聞いていて感じたのは、指輪はただのアクセサリーではないということです。

初めてプロポーズを決意した日。

お互いの将来を約束した日。

結婚式の日。

子どもが生まれた日。

人生には、いくつもの節目があります。

その節目を思い出すたび、手元には結婚指輪があります。

だからこそ、その指輪を選んだ時間も、大切な思い出になるのだと思います。

スタッフの方も、

「一組一組、みなさんそれぞれ違うストーリーがあるんです」

と話してくださいました。

その言葉が、とても印象的でした。

ヤマトヤ御殿場本店の続いていくご縁

今回のお話を聞いていて、もう一つ感じたことがあります。

それは、「地域のお店だからこそ生まれるご縁」があるということです。

最近では、インターネットで指輪を購入することもできますし、県外の大型店へ足を運ぶ方も多いでしょう。

それでもヤマトヤには、

「親がここで結婚指輪を買ったから」

「友人に紹介されて」

「クリーニングに来ました」

そんな理由で訪れるお客様がたくさんいらっしゃいます。

中には、小田原方面に住んでいる方や箱根方面の方も、結婚後も定期的に来店されるそうです。

「ここへ来ると安心する。」

そんな場所になっているのかもしれません。

取材をしながら、「地域のお店」って、こういう存在なんだなと改めて感じました。

単に商品を販売するだけではない。

人と人とのつながりを育てていく場所。

それが、ヤマトヤというお店なのだと思います。

ヤマトヤ御殿場本店が地域に頼られる理由

取材中、店長さんがこんなお話をしてくださいました。

「最近、本当に多いんですよ」

「時計屋さんがなくなっちゃったから、どこへ持って行けばいいか分からなくて来ました」

そう話すお客様が年々増えているそうです。

実はこの日も、電池交換のお客様が来店されていました。

「時計を見てもらえるって聞いたので」

そう言って自然に入って来られる様子を見ていると、この地域で頼られているお店なんだなということが伝わってきます。

私自身も、お客様との会話を聞きながら、

「そういえば最近、街で時計屋さんって本当に見かけなくなったな」

と改めて感じました。

昔は商店街にあった時計店。

学校帰りや買い物のついでに立ち寄れる存在でした。

でも今では、時計が止まった時に「どこへ持って行けばいいんだろう」と迷う方も少なくありません。

そんな時、「ヤマトヤなら見てもらえるよ」という口コミで来店される方が多いそうです。

他店で断られた時計も、まずは相談してほしい

「他店で購入した時計でも修理してもらえますか?」

そう伺うと、店長さんは笑顔で答えてくださいました。

「もちろん、できる限り対応しています。」

もちろん、すべての修理ができるわけではありません。

メーカーでも部品の供給が終わっている時計。

製造から何十年も経っている機械式時計。

特殊な構造の時計。

どうしても直せないケースもあります。

それでも、

「まずは何とかできないか考えます。」

その言葉が、とても印象的でした。

長年付き合いのある修理職人さんや取引先へ相談し、修理方法を探していく。

修理が難しいと言われた時計でも、別の方法で修理できることがあるそうです。

実際に、

「他では断られた時計が直りました。」

そんな喜びの声も少なくないとのこと。

特に昔の機械式時計は、時間や費用はかかる場合がありますが、今の技術なら修理できる可能性が残されていることも多いそうです。

「おじいちゃんの形見なんです。」

「父から譲り受けた時計なんです。」

そんな思い出が詰まった時計だからこそ、簡単に「無理です」とは言いたくない。

その想いが伝わってきました。

ジュエリー修理も、安全に直すことを大切に

時計だけではありません。

ジュエリー修理のご相談も多いそうです。

「ネックレスが切れてしまった」

「指輪のサイズを変えたい」

「石が取れてしまった」

そんな修理にも対応されています。

ただ、何でもすぐに直せるわけではありません。

例えば、素材の刻印がなく、プラチナなのかシルバーなのか判断できないジュエリー。

素材によって熱の加え方が異なるため、間違った方法で修理すると、大切なジュエリーを傷めてしまう可能性があります。

また、宝石が繊細に留められているデザインでは、修理によって石が外れてしまうリスクもあります。

だからこそ、ヤマトヤでは「無理に修理をする」のではなく、

「どんなリスクがあるのか。」

「どこまで対応できるのか。」

それをきちんと説明した上で、お客様に判断していただくことを大切にしているそうです。

その誠実な姿勢にも、長年信頼されてきた理由を感じました。

「お客様が喜んでくださること」が何よりもうれしい

最後に、

「仕事をする上で、一番大切にしていることは何ですか?」

と尋ねました。

店長:「やっぱり、お客様に喜んでいただくことですね。」

修理が無事に終わった時。

結婚指輪をお渡しする時。

「ありがとう。」

その一言をいただけることが、一番うれしいそうです。

そして、もし修理が難しかったとしても、

「ここまでやってくれたんだから」

そう思っていただけるよう、最後まで誠実に向き合うことを心掛けていると話してくださいました。

その言葉を聞いて、「歴史があるから信頼されている」のではなく、「信頼を積み重ねてきたから歴史になった」のだと、改めて感じました。

ごてんば散歩編集部より

今回の取材で、一番印象に残ったのは、スタッフがお客様のお話をする時の表情でした。

「自転車で婚約指輪を買いに来てくれた子」

「結婚しましたって報告に来てくれたご夫婦」

「赤ちゃんが生まれたんですって見せに来てくれたご家族」

「他では断られた時計が直って、本当に喜んでくださったお客様」

どのお話も、まるで昨日のことのように楽しそうに話してくださいました。

それだけ、お客様一人ひとりとの時間を大切にされているのだと思います。

時計も、ジュエリーも、結婚指輪も。

それ自体に価値があるのはもちろんですが、本当に大切なのは、その先にある”思い出”や”人生”なのかもしれません。

江戸時代から続くお店。

そう聞くと、「歴史」が一番の魅力だと思っていました。

でも実際に取材を終えて感じたのは、「人とのご縁を大切にする姿勢」こそが、このお店の一番の魅力でした。

もし皆さんのご自宅にも、

「止まったままになっている時計」

「サイズが合わなくなった指輪」

「いつか直したいと思っているジュエリー」

があるなら、一度相談してみてはいかがでしょうか。

きっと、親身になって耳を傾けてくださると思います。

店舗情報

ヤマトヤ 御殿場本店

住所
静岡県御殿場市東田中1-18-18

電話番号
0550-82-0090

営業時間
10:00〜19:00

定休日
年末年始・催事日を除き営業

駐車場
あり

取扱商品

  • 腕時計
  • ジュエリー
  • 婚約指輪・結婚指輪
  • 匠パール
  • 時計修理・オーバーホール・電池交換
  • ジュエリー修理・リフォーム

公式サイト
https://www.yamatoya-co.com/
https://yamatoyabridal.com/

このお店はこんな方におすすめ

  • 結婚指輪・婚約指輪をじっくり選びたい方
  • 他店で修理を断られた時計をお持ちの方
  • 思い出の時計を長く使い続けたい方
  • ジュエリーの修理やリフォームを相談したい方
  • 地域で長く信頼されているお店を探している方

江戸時代から続く歴史の中で、大切に受け継がれてきたのは「時計」ではなく、「人とのご縁」。

その温かさを、ぜひ一度お店で感じてみてください。

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この記事を書いた人

地域ポータルサイト「ごてんば散歩」
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